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自動車の定額制サービスは普及しないだろう

トヨタ自動車が11月1日に発表した自動車の定額制乗り換えサービス

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以前よりガリバーを展開するIDOMが自社在庫を使用し行っていたが、完成車メーカーがトライアルを行うというのは、今後の自動車の販売や保有というものに変革がおとずれることに対する危機感からだろう。

 

車に乗る・保有するということに対して選択肢が増えることは大歓迎だが、この定額制サービスが車ですみずみに普及することはないと私は考えている

 

①定額制乗り換え放題サービスでは現在の車を購入・保有コストを下回ることはない。

保険・車検を含めて定額制ということは事故・故障における金銭的負担が発生するリスクを含んでいる。今までの売り切りではそのリスクはオーナーが負っており、保険の等級などはそれが故にあるものだが、定額制サービスではそのリスクがサービス提供者に移行する。今の車にありがちなヤヤこしい種々の細則をはぶき、簡潔明瞭な価格提示・手続きを標ぼうするのであれば、使用頻度・走行距離・事故の確率等を細やかに算出し、顧客に提示することは不可能であろう。ゆえにそこはバッファをもった価格にせざるを得ない。

 そもそも定額制というだけであれば既にリースというものが存在している。乗り換えないこと、最低使用年数を決めれるのであればそちらでよい話である。ゆえに定額制乗り換え放題サービスは「乗り換え放題」に重きがあるのである。

 

②乗り換え放題のリスク

完成車メーカーが乗り換え放題を行うというのは、大きなリスクをはらんでいる。なぜならば多くの会員が加入した場合、それに対応可能な新車を用意しなければならない。(新車を使用しないとしても、メーカーが旧モデルを用意するとは考えにくい。新車かどうかはわからないが、現行モデルを用意するという内容であるとすれば、会員が多ければ新車を用意してくるだろう)せっかく用意した新車も、乗り換え放題であるがゆえに非稼働となってしまう可能性があるのである。

 またある程度以上走行した車、また定額制のために用意したが乗り手が少ないクルマは中古車に回されていくだろう。だがしかしそれは中古車の価格下落をまねくことになる。中古車の価格下落は新車の販売下落を招く以上、完成車メーカーとしては注意しなければならない部分であろう。

 

 

私は購入・保有コスト及び車両価値下落という観点から、定額制乗り換え放題というシステムは消費者・企業の双方から普及しないと考えている。このシステムのメインターゲットは高いクルマ・趣味性の高いクルマを短いスパンで乗り継げることにメリットを感じる人のみにうけるであろう。

 

昨今は色んなものに定額制のハヤリがきているが、それはクルマにはあてはまらないだろう。だが、カーシェアやエニカのようなものは普及していくと考えている。それは保有とレンタルの差にあると考えている。定額制はクルマを持つ価値はないと判断している人をくつがえらえるような内容でないが、その人達もクルマを必要とする時はあり、そこには今のレンタカーよりも安くクルマを提供できる、もしくは趣味性の高いクルマに乗ってみたいという欲求を満たすことができるからである。